これを立証するために、科学者たちは、一九一八年の汎流行のときアラスカのブレヴィグ伝道所で死亡したイヌイット族の女性の遺体から採られたインフルエンザウイルスを調べてみた。
遺体が永久凍土に埋葬されていたため、ウイルスは八0年間あたかも冷凍状態に置かれていたかのように非常によく保存されていた。
この分析から彼らの前述の発見が確認された。
ブタも一九一八年のインフルエンザ流行にかかったので、このウイルスがトリからの遺伝子入力なしにブタからヒトへ直接に広がったことも考えられる。
もし本当ならば、ユニークなことである。
一九一八年のインフルエンザ流行は中国に始まったというより、「スペイン風邪」の名があるように、最初の症例はスペインでの西部戦線の近くから公式に報告された。
しかし一九一八年の初めに北アメリカで穏やかなインフルエンザの発生があり、これが軍隊とともにヨ-ロッパヘ渡ったのかもしれない。
このことは、アメリカ株と当時循環中のヨ-ロッパ株との間に遺伝子再集合が起こって新しい株が生まれたという可能性を提起する。
しかしながら裏書きする証拠がないにもかかわらず、多くのウイルス学者は、現在でも、一九一八年のインフルエンザ汎流行を引き起こしたウイルスが、その後に続いたすべてのインフルエンザと同じく中国で発生したと考えている。
インフルエンザウイルスが一九四0年代の初期に実験室で初めて培養されるや否や、当然、次の段階は予防用のワクチンをつくることであった。
不活性ウイルスを用いた初期の試みはほどよい成功を収めただけでなく、ワクチン接種は現在もインフルエンザに対する防護の大黒柱である。
しかし、いくつかの問題がある。
第一に、ワクチンというものは株特異的である。
新しい株が出現すると、現在使用中のワクチンは役立たなくなる。
このことが実証されたのは、新しいワクチンが一九四五年という早い時期にアメリカ陸軍の新兵に試験されたときである。
このワクチンはまあまあのレベルの防護を提供した。
インフルエンザにさらされた新兵一00人のうち八人が感染しただけであった.しかし一九四七年に重要な抗原連続変異があったあと、状況は完全に逆転し、同じワクチンで接種された新兵一00人のうち感染を逃れたのはわずか九人であった。
ある程度まで、この問題は、異なる株をワクチンに混合することによって克服できる。
おのおのの株に対する免疫応答の活力を損ねることなしに、数種類の株を含ませることは可能である。
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